海から出発して富士山頂を目指す人のためのガイド

富士山登山ルート3776

 富士山を五合目から登ろうとする人はとても多い。そして、五合目からの攻略法はもう世の中にたくさんありふれているのだと思うが、富士山を海抜0mから登ろうとする者たちへのガイドはあまり見かけない。そんなニッチなニーズを満たすためだけに今回は記事を書こうと思う。といっても筆者も一度チャレンジして運よく成功しただけなので、多少知っている程度だ。しかし、少しでもチャレンジする人の参考になれば良いと思って書こうと思う。

※足りない情報があれば随時更新していくことにする。


【参考にしたいサイト】

富士じかん

表富士グリーンキャンプ場

モンベル野遊び保険

富士急行バス

海抜0m~標高3776m富士山頂へ。総距離42kmの道のりを行く(報告書)


【荷物】

 道のりは長い。あまりにも重い荷物を背負うと、あとで痛い目を見ることになる。必要最小限で最高のパフォーマンスを発揮できるように意識してパッキングしたい。

※富士市推奨の持ち物リスト


◆着替え

 着替えに関してだが、平地を歩いているときはとにかく汗をかく。キャンプ場につく頃には汗がビショビショだ。日中であれば、六号目近くまでは汗をかく気候だと考えた方が良い。山頂アタックも日中を考えており、運よく天気が晴れているなら、あまり厚着をしなくても寒さを感じることはないだろう。だが、御来光のために六号目以降は夜歩くとか、天候が崩れたりなんかすると夏でも山頂付近の気温は0℃に限りなく近くなる。汗を処理しないまま山頂に行けば完全にアウトだ。

 以上を踏まえおすすめしたいのは、

  • 六号目まで汗びっしょりになるための軽装一着。
  • 六号目以降寒さをしのぐための装い一着。

 これで行けるはずだ。

 厚着をして汗をかいてしまったら、それが冷えたときに体調に影響を及ぼしかねない。六号目以降寒くなるとは言っても、登っていれば体温は上がってくる。面倒かもしれないが汗をできるだけかかないために、時に応じて脱いだり着たりを繰り返すことは必ず行いたい。寒さ対策でおすすめなのはもちろん、ヒートテックなどのかさばらないインナーシャツだ。


◆食料

 開始から約13km地点(最後のセブンイレブン)から、富士山の六号目(約38km地点)までは、キャンプ場以外には売店が一切ない。自動販売機を道沿いにひとつだけ見かけたがそれだけだ。もしもときのために非常食は用意しておきたい。(カロリーメイト5箱とか。)それから水分が手元にないことは精神的なダメージが大きい。この事態が起きると致命的だ。暑ければ水分消費も激しいだろう。個人的な感覚としては六号目までは2リットルくらい備えておきたい。キャンプ場でピットインするなら、キャンプ場まで1㍑、キャンプ場から六号目まで1㍑という風に分けてもいいかもしれない。ちなみにキャンプ場フロントには飲料水もちろん、カップ麺や御菓子なんかも売っている。もちろん、平地に比べたら多少は値段が高いが、そこで食糧にありつけること自体がありがたいことだから感謝しよう。


◆雨具

 山頂付近で雨に降られ、ビショビショになるなら、それ以上に恐ろしいことはない。冷えたら一貫の終わりだ。頑丈な雨具はこれを期に一着用意しておいた方が良いだろう。


【保険】

 日本中の老若男女が登る山とはいえ、何が起きるかわからない。もしものときのために必ず保険には加入しておくようにしよう。山登りの際の保険は多種あるのだろうが、私はmont-bell野遊び保険に加入した。3泊4日まで補償してくれるタイプのものがあり、値段は250円か500円のものを選ぶことができる。250円でどこが違ってくるかというと、大きくは携帯している物品の補償内容だ。250円の方は携行品の補償はない。500円の方は約10万円まで補償される。あとは、入院保障。一日に補償してくれる金額が倍くらい違ってくる。といってもこちらは、1,000円か2,000円くらいの差でしかない。ちなみに私は250円の保険を選択した。

※野遊び保険と山行保険とがあるが、山行保険は雪山を登るような人向けの保険で富士登山者には該当しない。負担額も高いので間違って入らないように気を付けよう。


【宿】

 海抜0mからのルートは静岡県富士市が設定しているルートで、推奨日程は3泊4日。宿泊先も推奨してくれている。

  1. 泊目:薬草湯の宿よもぎ湯
  2. 泊目:表富士グリーンキャンプ場
  3. 泊目:富士宮ルート六号目の山室

 当時28歳のわたしが歩いてみて、スタート地点からそれぞれの場所に着くまでにかかった時間を参考として載せておく。

  • よもぎ湯(約15km)→2時間半~3時間
  • キャンプ場(約27km)→6時間
  • 六号目(約38km)→12時間
  • 山頂(約42km)→22時間

 ちなみに観光とかは一切していない。小休憩、一時間程度の大休憩の時間も含めての時間である。富士山だけを目指して0mからスタートするなら、3泊4日の日程で行くとかなり時間を持て余してしまう可能性がある。私自身は多少トレーニングして臨んだが、全くトレーニングしていないメンバーも一緒だった。それでも一泊もせずに登頂した(かなり強行だったけれど。)一泊もせずに行くのはかなりきついが、もしも一泊したなら大分余裕は出たと思う。観光しながら行くにしても二泊で十分じゃなかろうか。


◆一泊で行くなら

キャンプ場がおすすめだ。施設もしっかりしているし、テントを持っていかなくても予約すれば貸し出してくれる。もちろん、その他キャンプに必要なもののレンタルは充実しているから、重たい荷物を背負いたくない人でも問題ない。


◆二泊で行くなら

キャンプ場六号目だろう。

所要時間をみてもらってもわかるとおり、キャンプ場からの距離は短いけれども、いっこうに目的地にたどり着けない。時間はかなりかかる。一方でキャンプ場までは坂道と言えどアスファルトの道が続いているため、意外とすいすい行ける。

そういうわけだから、キャンプ場と六号目をおすすめする。


【体力】

 42kmはかなり長い道のりだ。筋肉痛になることは誰しも避けがたいことだろう。特に、ふくらはぎとおしりの筋肉はかなり使用する。坂道登山(一般道/アスファルト)では、ふくらはぎの筋収縮の稼働域が広くなる。また登山道に入って岩場を登る動作になると、今度は大臀筋(おしり)の筋収縮の稼働域が広くなる。よって、これらふたつの部位が登山後に筋肉痛になりやすくなるのだ。筋肉痛=よく使う、ということになるため、体力に自信のない人なら尚更、ふくらはぎ/おしりのトレーニングだけは是非とも登山前に強化しておきたい。

 また、登山中は標高がどんどん高くなる。それに伴って酸素は薄くなり呼吸が苦しくなってくる。エネルギー源となる酸素を取り込むために、心臓の鼓動や呼吸が早くなる。意外かもしれないが、持久性の体力をつけておくほうが酸素の取り込みが早くなるため、疲れにくくなる。準備に時間をかけられるなら、心臓を鍛えるトレーニングもしておきたい。


【交通】

◆行き

 海抜0mの地点に行くには、東海道本線の吉原駅で降りるのが一番近い。南口を出て15分くらい歩くと富士塚という出発地点にたどり着ける。

 東京駅から吉原駅までの行き方だが、新幹線、鈍行列車、高速バスとある。

●(交通機関) 費用/最短乗換/所要時間 は以下の通り。

 ちなみに時間に余裕のある筆者は高速バスを利用した。

 高速バスは新宿・渋谷発のものもある。(https://goo.gl/jx35Qk)新宿からの料金は東京からの料金と変わらない。渋谷は100円だけ安い。

 お金をかけずに行くのであれば、列車よりもちゃんと座れて眠れるバスの方が圧倒的におすすめだろう。沼津行きは混まないので比較的予約はしやすいはずだ。


◆帰り

 無事に登頂できた場合と、登頂できなかった場合とで帰り方は異なる。

①登頂できた場合part1

 登るときは富士宮ルートを登っていくことになる。山頂にたどり着いたものは、吉田ルートから下山し富士スバルライン5合目を目指すことをお勧めしたい。

 富士スバルライン5合目からは、新宿行きの直通高速バスが出ている。

 参照:http://bus.fujikyu.co.jp/highway/detail/id/2

 5合目からの面倒な乗り継ぎを省くことができるという点で非常におすすめしたい交通手段だ。ただ、始発が10時で最終便は17時なので、時間が合わないという方は厳しいかもしれない。ちなみに筆者は山頂でのご来光から下り始めて8時半頃五合目についた。レストランなどが充実しているのでそこいらで少し時間を過ごして10時の便で帰路についた。


②登頂できた場合part2

 残念ながら高速バスの時間と噛み合わないという方もいると思う。そういう場合は最寄りの駅までおろしてくれる富士登山バスを利用するほかない。走っている本数や時間を見ても充実しているのはやはり富士スバルライン五合目だ。

参照:http://bus.fujikyu.co.jp/pdf/rosen/fujitozan/hikingbus_20170523.pdf

 19時50分発、河口湖駅/富士山駅行きのバスに乗れば、一応当日中に東京駅にはつける。

 他3つの登山口にももちろんバスは通っているが、本数や時間はスバルラインに比べて限られている。利用したい方は、こちらを参考にしてみると良いと思う。(http://www.camp-outdoor.com/tozan/fujisan/tozanbus.shtml#b)

③登頂できず下山する場合

 海抜0mからのルートは、富士宮ルートを利用する。途中下山するとなったら、富士宮ルートの五合目を目指すほかない。御殿場ルートも目指せなくはないが、あきれるほど長い距離を歩かなければならないため、おすすめはできない。(http://www.fujisan-climb.jp/trails/)


 

 今回提供できる内容は以上の通りだ。

 提供できる情報が増えたらまた更新していこうと思う。

 それではグッドラック。


YUTAKA

#富士山 #富士3776 #登山 #準備 #劇団ゆたか


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