塩と油分が残る指が求人誌を汚したんだ。by『私の居場所』

小説『私の居場所』2話目

【塩と油分が残る指が求人誌を汚したんだ。】


てりやきバーガーのタレに苦戦しつつも、手短にそれをたいらげ、

ポテトとMサイズのスプライトのみがテーブルに残った。


ポテトをつまむたびに細かな塩と油分が指に残る。

その指でJobaidemやら、タウンワークやら求人の情報誌をめくった。


誌の内容よりも、塩と油分がその誌を少し汚してしまうことに気が囚われたが、

用が済んだら処分してしまうそれらに気を遣うことなどないことに気づいて、

やっと誌の内容に集中することができた。


余計な心配ばかりだ。


自分の置かれている状況を棚に上げて、

目先のことに神経を使ってしまう。


現実から目を背けたくてきっといつもそんな風に僕は目をそらす。


大切なことは、今仕事を見つけて、お金の問題を解決することなのだけれど。


ゆたか


『私の居場所』1話目はコチラ


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