ピノキオと旧約聖書の関係
ピノキオ
【あらすじ】
操り人形として作られた彼はある晩、女神様によって命を吹き込まれる。
「勇気をもって生き、正直でやさしければ、いつかは本当の子になれる。」
そう言い渡されたピノキオは、善悪の分別をするために女神様が遣わしたコオロギのクリケットと過ごし始める。
こうして始まった彼の生は、その矢先から誘惑にさらされるものだった。見世物小屋の主人。誘拐犯の巧みな誘惑。悪い輩からの誘いを断りきることができなかったことが原因で、ピノキオは徐々に、暗くじめじめした世界の方に染まっていってしまう。
「悪いことするって本当に楽しいね。」
そうとまで言うようになってしまったピノキオの体は、悪党の仕業によって徐々にロバの姿へと変わっていってしまう。
その時になってようやく、自分がしてきたことが罪であることと、そしてその代償があまりにも大きいことにピノキオは気づく。そこから善悪を分別してくれるクリケットと共に、悪なる世界から抜け出すことを試みる。
一方、操り人形としてピノキオを作ったおもちゃ屋の主人は、突如として家からいなくなってしまったピノキオを探す道中、化物クジラに飲み込まれてそこから出てこれなくなってしまっていた。やっとのことで暗い世界から出てきたピノキオは、自分の主人を助けるべく化物クジラの中へと果敢に入って行く。そして、勇気と知恵ある方法で、主人をクジラの中から脱出させることに見事に成功した。
一部始終をご覧になった女神様は、ピノキオの姿勢を評価し、彼を本当の人の子にしてあげたのだった。
【ピノキオの話が旧約聖書にある?】
さて、このピノキオの話によく似た物語が旧約聖書のヨナ書に記載されている。
http://bible.salterrae.net/kougo/html/jonah.html
旧約聖書 ヨナ書
◆あらすじ
ニネべという荒廃した町を悔い改め(更生)させるために、神様はヨナに命じた。
「立って、あの大きな町ニネベに行き、これに向かって呼ばわれ。彼らの悪がわたしの前に上ってきたからである」
しかしヨナは神様の言葉を無視して、その街から離れるために船に乗り込んだ。神様は彼が乗り込んだ船を暴風雨に見舞わさせられた。同乗していた船乗りたちはヨナのせいでこのような目にあっていることを知り、ヨナをとって海に投げ捨てた。海に投げ出されたヨナを、神様は大魚によって生かしておかれた。
ヨナ書1章17節
『主は大いなる魚を備えて、ヨナをのませられた。ヨナは三日三夜その魚の腹の中にいた。』
大魚の腹の中でヨナは自分の命が神様によって救われたことを悟り、神様に犠牲をささげて自分自身の誓いを果たすことを神様に約束したのだった。
陸に上げられたヨナはその後、初めの御告げの通りにニネべの街を悔い改めさせ、神様の怒りがそこに臨むのをまぬかれさせたのである。
以上がヨナ書の概要だ。
類似する点
ピノキオのストーリーは、この旧約聖書の一部にインスパイアされたのだ。
- 神様という存在から要求されたことを初めは遂行することができないという点。
- 改心するタイミングで、大魚(ピノキオではクジラ)の腹の中に閉じ込められるという点など。
ディズニーが手掛けたピノキオという映画は、情報誌Time Outニューヨーク版、アニメ映画のベスト100(100 Best Animated Movies)というランキングで、一位を飾っている。http://sharetube.jp/article/297/
制作年は1940年だから、70年以上経た現在でも評価され続けているピノキオという作品のいかにすごいことか。
そしてその作品のストーリーに大きな影響を与えたのが聖書。美術や音楽の芸術作品においても、聖書を題材にした作品が歴史に刻まれる逸品となっていることはしばしばみられることである。ピノキオをきっかけとして、聖書というものが与える芸術への影響というのをますます見過ごすことができなくなってしまったように感じる。
YUTAKA.
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