静かな場所を求めて
土曜日の繁華街は9時を過ぎても人が賑わっていて、静かなところを求めに駅近くをさまよった私は結局駅から遠ざかっていくことにした。
そもそも黄昏たいと思う人間が、駅近くでそれを成し遂げられるだろうと期待していたこと自体、おかしなはなしなのだけれど。
少し歩いて、人通りもそれほど多くないところにこじんまりとした熊本らーめんのお店があったから、きっと落ち着いて食事もできるだろうと期待して入ってみたら、どうやら旧友と久しぶりに地元で騒ぐ5、6人の男達が先に席についていて昔話に花を咲かせていた。
隅のカウンター席に腰を下ろして、静かな雰囲気を味わいたいと願いながら、彼らがラーメンを口一杯にほおばって喋れなくなることを願いながら、じっとらーめんが来ることを待っていた。
そうしているうちに彼らは思いの外すっといなくなってしまって、僕と店主ともう一人のおじさまと3人きりになった。
騒がしかった店内はやっと夜の10時に相応しい静けさを取り戻した。
これでラーメンの味に集中できる、と思っていたところだったけど、もうそのころには私のラーメンもなくなってしまって。
お店をでたら、また少し寒くなった気がした。
YUTAKA.
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